今回は、自動車のLCAについての話題です。地球温暖化対策のひとつとして、欧州で、2030年に自動車のCO2排出量規制が検討されています。
2021年から、排出量の規制をNEDCモード計算で95g/km、2030年には60g/kmレベルを、2050年には全面的にカーボンニュートラルとなることが目標となると言われています。この様な問題に対しては、一般に、BEV(Battery Electric Vehicle)やPHEVが有効と考えられています。
しかし、この新しい規制では、バッテリーの製造、充電時の電力の発電方法、急速充電とバッテリーの劣化や寿命が環境に対して影響があることも問題として考える部分があり、BEVの採用だけでは解決出来ない新たな問題となっている様です。
例えば、EEA Reportの Electric vehicles from life cycle and circular economy perspectivesでは、「BEVの原材料と生産段階に関連するGHG(温室効果ガス)排出量は、ICEV(内燃機関自動車)の1.3〜2倍」と説明しています。(図1Climate change impacts: example comparison of BEVs with ICEVs参照)
この様に、製造プロセスでの環境負荷も含めたLCAで評価されると、BEVのICEVに対する優位性は、かなり厳しくなることが考えられます。
バッテリーの製造問題について調べると、バッテリーの製造時のCO2排出量は、「あるタイプのリチュウムイオン電池では、電極材の焼成などで40%、セルに使用するアルミの精錬で20%」と報告されていました。
また、EEA Reportでは、EVの原材料となる銅およびニッケルは、精錬工程で、硫化物などの環境汚染物質も発生し、これらの環境問題にも言及しています。
昨今の状況を考えると、確かに地球温暖化問題は深刻な状況にあると感じます。自動車においても、バッテリーの製造問題だけでなく、今後も「車体のマルチマテリアル化による軽量化」「バッテリーの急速充電による寿命問題」など多くの課題が金属技術としてあるのではないでしょうか。
地球温暖化って、車だけではありませんよね。地球温暖化関連については、以下でも述べさせていただいています。
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