Palmisano Report :今は20年前に造られた…

Social Needs

「ヤングレポート」と「パルミサーノレポート」の次は?

1980年代の米国は、オイルショックにより、賃金減少と物価上昇が同時に起こるスタグフレーションという問題を抱え苦しんでいました。これに対して、レーガン大統領の求めにより、米国の競争力協議会は、1985年に「Global Competition The New Reality」を作成しました。このレポートは、HP社の社長であるJ.A.ヤングさんを委員長としたことから「ヤング・レポート」と呼ばれています。このレポートでは、研究開発税制の優遇、共同研究に関する独占禁止法の障壁撤廃、知的財産の保護強化などが実行手段として提言されました。そして、これらが、その後の米国の科学技術に対する政策に影響を与えました。その結果、米国ではITやバイオテクノロジーなどの新しい産業が生まれました。一方で、知的財産を重んじる考えは、ファブレスを生み、中国を世界の工場とさせた一因であったのかもしれません。

2000年代は、競争激化が進みグローバル化社会の中で進む方向が、問題となっていました。2004年に、同じく競争力協議会から「Innovate America」が発表されました。委員長はIBM社のCEOであるサミュエル・パルミサーノさんでした。ここから「パルミサーノ・レポート」と呼ばれています。このレポートでは、「社会には、様々な分野が存在する。以前は、敵対的であった分野であっても、補完的で共生的な関係へ進化し、広範囲の分野が交わり合うことによりイノベーションが創られる。」と語られています。そして、実際に、現代の社会は、コンピュータと自動車が融合した自動運転や通信と医療が融合した遠隔医療へと進んでいるのではないでしょうか?

話は少し変わるかもしれませんが、バリューチェーンという言葉があります。これは、1985年にハーバード・ビジネススクールのマイケル・ポーター教授が使った言葉です。この言葉が、最近まで使われているのは、本質的な考え方の背景や中身が「パルミサーノ・レポート」と共通してると感じられるからかもしれません。

「ヤング・レポート」から「パルミサーノ・レポート」までは約20年の間隔がありました。この間にも多くの提言があります。しかし、次の注目すべき提言は、2020年から手がけられ、2025年頃の発表かもしれませんね。過去は、スタグフレーションやグローバル化がイノベーションを創り上げました。次は、環境問題、人口問題、食料資源問題から宇宙や生命へ向けた提言が考えられ、ここから、新しいイノベーションが生まれるのかもしれませんね。ただ、それを成し得るための手段には、どんなものがあるかは、まだまだ考えて行かなければなりません。そして、それが出来る社会を少しづつでも創っていきたいと思います。

「ヤングレポート」については、以下の紹介を見てください。

http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa200801/08060518/075/007.htm

「パルミサーノレポート」の詳細については、NEDOさんの解説をみてください。

https://www.nedo.go.jp/content/100106165.pdf

原文はここにあります。

Just a moment...

この次の社会として、以下の内容は、参考になるかもしれません。一度みてください。

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