Aluminum Alloy Materials:「固溶強化」と「析出強化」

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鉄道車両向けや自動車向けのアルミニウム合金について説明します。

これらの合金は、JIS規格の番号で、5000系、6000系と7000系があります。

それぞれの材料の特徴と使われ方を見ていきましょう。

熱処理系でMgを添加して強度や溶接性を向上させたアルミニウム合金が、5000系です。Mgは、アルミニュウムに良く固溶し、固溶強化による材料の強化機能を発現させます。

5000系で、Mgの含有率は0.5~5%と広く、Mgの添加量が多くなると、強度が上がりますが、応力腐食割れの課題があります。また、引張試験では、降伏点を越えた後に、固溶Mgが転位に固着されることが原因で、応力–歪曲線上に鋸歯状のセレーション(振動)という現象が生じることがあります。この現象は、成形加工上では、ストレッチャーストレイン(stretcher strain)の発生原因となり、加工性での課題となることがあります。

代表的な合金でMgが2.2〜2.8%含有している5052は、調質h34で、引張強さ260N/m㎡と中程度の強度を持ちます。耐食性、加工性がよく、静的疲労強度も高く、耐海水性が優れています。

5083は、Mg量が4〜4.9%と多く、調質がOでも引張強さ290N/m㎡と高く、溶接性に優れています。しかし、溶接熱で回復が起こり強度低下が起こる課題があります。FSWによる接合は問題ありませんが、塑性変形抵抗が大きいことが原因で、入熱量が大きくなり、歪の原因となることから加工速度を上げることが難しい材料となります。

主には、建築用パネルなどに使われ、高強度な材料は、船舶、化学プラントの溶接構造用材料などに使われます。国内の鉄道車両でも、この材料が初期には多様されていました。

次に、熱処理系のアルミニウム合金の6000系と7000系です。

6000系は、MgとSiを加えMg2Si 組成を構成した合金で、ストレッチャーストレインが発生しません。また、圧力を加えると材料が流動する塑性流動に適した材料であることから押出加工にも適しています。課題としては、溶接すると熱影響部は複雑な組織となる為、鉄道車両の組立てでは、リベットやボルト接合を併用します。FSWを使うとミグ溶接よりも影響部の強度が高くなることから、塑性流動を原理としたFSWが多用されています。

鉄道車両の代表的材料としては、6N01があり、国内で開発された合金で、後に、JISで 6005Cという型式となっています。

7000系は、MgとZnを加えた合金です。押出性や溶接性に優れ、熱影響部も自然時効により回復する特徴がある。欠点として耐食性が劣るものです。

鉄道車両の代表的材料としては、7N01があり、国内で開発された合金で、後に、JISで 7204という型式となっています。

将来的には、アルミニウム合金だけでなく、鉄道車両や自動車にマグネシウム合金の採用が考えられています。これらについては、今後、報告させていただきます。

高速鉄道車両へのアルミニウム合金の活用についてはここをご覧ください。

https://surpasscl.com/aluminum-alloy-material-for-railroad-vehicles/(新しいタブで開く)

自動車へのアルミニウム合金の活用についてはここをご覧ください。

コメント

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