Metal strengthening mechanism 金属の強化

「四つの強化方法」

金属の強化の前に、金属の変形は、転位の集積により起こります。この集積を抑える方法が金属の強化機構になります。

その強化方法には、「固溶強化」「析出強化」「加工硬化」「組織微細化」があります。

固溶強化は、金属材料の結晶の中に、それとは異なる元素を入れることで、原子の移動を抑制し、転位の集積を防止する方法です。代表的な例として、低炭素鋼や黄銅などがあります。

例としては、ハイテン材やガスタービンの耐熱材料があります。

析出強化とは、溶体化処理で過飽和固溶体を生成し、低温時効により極微細な硬質粒子を析出させる方法です。代表的な例として、アルミニウム合金（ジュラルミンなど）があります。アルミニウム合金の例については以下を参考にしてみてください。

加工硬化とは、塑性変形により、金属の中の転位の数が増加し、転位同士が互いの運動を阻害し、集積が行われなくなる方法です。圧延鋼板やプレス製品は加工硬化により強化されることがあります。

結晶微細化は、結晶粒径を小さくし、結晶粒の間での転位移動を多数発生させることで事で、転位の移動を抑制し強度を向上させる方法です。この方法は、ホールペッチの法則で表され、結晶粒径の1/2乗に逆比例して強度上昇します。結晶を微細化するには、強加工を行いひずみを入れた後に熱処理で微細結晶を作り出す方法や鋼の場合は焼き入れ焼き戻しの熱処理が代表例としてはあります。

一例として、TMCP材があります。

結晶微細化は、強度が上がることはありますが、クリープの問題があります。クリープの詳細はここを参考にしてください。