Inorganic Antibacterial Agent: 二つのタイプの抗菌剤

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二種類の抗菌剤とその抗菌メカニズム

「無機系抗菌剤」には,主に,二酸化チタンの様な「酸化物光触媒系」と「金属(イオン)溶出型系」があります。

アナターゼ型二酸化チタンは,「酸化物光触媒系」の代表例で,紫外線にを受けることによりOH(ヒドロラジカル)を生成し,この強力な酸化作用で有機物を分解し抗菌作用をするものです。 熱的安定性があるので抗菌焼き物(トイレタリーなど)の釉薬などとして使われます。

また,「金属(イオン)溶出型系」 では,銀,銅,ニッケルや亜鉛などの金属を溶出することで、細菌のタンパク質を変性させるものです。

図1 銀イオンが,タンパク質の水素結合部を分解する一例

タンパク質は,20種類のアミノ酸 を規則的に配列させた構造(一次構造)を持ちます。

その一次構造物は,水素結合などにより,折りたたまれて,らせん構造やシート状構造の二次構造を形成します。更に,この二次構造が水素結合やSS結合(2組のチオールによる共有結合で、ジスルフィド結合と呼ばれています。)などにより集合し,三次、四次と高次な構造となります。この様な構造を形成することで,はじめて、そのタンパク質に求められる(例えば, 組織を作るコラーゲンや 酸素を運ぶヘモグロビンの様な)機能が発揮されることになります。

このタンパク質の水素結合やSS結合に,銀や銅などの金属イオンが近づくと、結合が破壊され、先に述べたようにタンパク質が変性することになります。

また,タンパク質の中には、金属イオンを含んでいるものがあります。この金属イオンが、銅イオンなどにに置換されるために、変性が起こるとも言われてもいます。

タンパク質は、この変性を起こすと元のタンパク質に戻ることはがありません。

「金属(イオン)溶出型系」 の実用化例

金属イオンは,「素材に含有して使用される場合」,「めっきなどの表面被膜に含有して使用される場合」や「担持されて使用される場合」などがあります。

素材として使用される例としては,ステンレス鋼に銅や銀を入れるもの,銅素材のそのもの活用したものが実用化されています。

表面被膜として使用される場合には,ニッケルめっきなどが実用化されています。

担持されて使用される場合には、ゼオライトなどに担持させるものがあります。

素材として使用される例では,台所用品など錆に強いステンレス鋼の特性も使いながら,利用されることがあります。

表面処理では、樹脂上にめっきを行ったり,素材に付加価値を付けた形で利用されることがあります。

抗菌のSocial Needsとして, SDGs(Sustainability development Gorals:持続可能な開発目標)があると思います。SDGsの詳細はここを参照してください。

抗菌の定義や殺菌との違いについては,ここを参照してください。

参考資料

山本則幸, 無機系抗菌剤の分類と抗菌機構,無機マテリアル,6 巻 283 号 ,1999 年, pp468-473

コメント

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