No Ordinary Disruption 未来へのヒント

Social Needs

The Four Global Forces Breaking All the Trends

マッキンゼーの3人のコンサルタントによる本が2016年に出版されています。私が読んだのは、和訳で「マッキンゼーが予測する未来」と題がありました。でも、未来予測というよりも、「新しい社会環境があなたの常識を変える」といった内容が書かれています。

本の内容は、流石にマッキンゼーと言わせる説得力のあるデータが続きます。主眼は未来予測でなく、常識が変わることに注力されています。この観点で読むととても良い内容です。特に、この内容を今読んで、出版時の16年から、実際にどう変わったかを見て、そのベクトルを繋げれば、ご自身の未来予測が出来るかもしてません。

4つの破壊的な力

まず、現在、起こっていることとして、「異次元の都市化パワー」「加速する技術進化」「地球規模の高齢化」「高速に強く結びつく世界」の四つの破壊的な力が紹介されています。ここでも、単なる記述だけでなく、事例とデータで話が進められ、「なる程」と思ってしまいました。

figure1. 貿易経路拡大、地域を結ぶ貿易パターン複雑化(マッキンゼーが予測する未来より)

直観力をリセットする思考戦略

これに対して、今までの経験による判断でなく、それを見直す(本文では直感力をリセットする)ことが必要と述べられています。そのためには、以下の六つの視点で物事を考えることが必要となります。ここでも事例とデータの紹介があります。

ひとつめは、「次に来る30億人の消費者は何を求めるか?」を考えることです。新興市場の消費者についての事例として、「GEは、先進国市場で販売されていた価格の1/5である1500ドルの心電計をインドで開発し、販売。これにより、インド市場でのシェア拡大となった。更に、これが、先進国向けの2500ドル心電計計開発のヒントとなった。」と述べられています。「なる程」です。

ふたつめは、「新興国経済が都市化し、資源の需要を急拡大。他方、供給側は、急に供給量を増やせないため、食料だけでなく、農産物、金属、エネルギーといった資源の価格が高騰する。」という視点で考える。実際に、2010年から2013年の間にこれらの価格は2倍に上昇した。これに対して、リサイクル経済と供給テクノロジーの活用が必要であると述べられています。

三つめは、「資本コストが変化」について考えることです。具体的には、「世界のGDPに占める投資総額は2009年に21.8%ですが、今後広がる予想があります。一方で投資の供給力には限界があり、これにより投資コストが増大する。」一方で、逆に、「金融信用不安による金融危機とこれに対応する金利低下政策の実施も考えられる。」と述べられています。これらに対しては、二股の対応が必要で、事例として、「オーストラリアの天然ガス工場では、プロジェクトの見直しにより、膨大な開発投資費用を20%前後圧縮した。日本自動車メーカーのジャストインシステム。」などが紹介されました。

四つめは、労働力供給のギャップです。「科学の進歩により労働者のスキルが直ぐに古くなる。」といった問題があります。これに対して、「フランスのIT企業がeメールを廃止してSNSを活用。トータルの労働時間を25%短縮。」「医師のコストが上昇するヘルスケアの分野では、看護師が注射などの仕事を分担する事で、総合的に仕事の質を向上させている。」ことが述べられています。

五つめは、「小さな企業が突然頭角を現し、競争相手になる社会」です。小さな企業が成長するには、新興地域の成長著しいビジネスハブに着目する。例えば、「ブラジルのサンタカタリナは、世界最大の鶏肉処理企業、冷蔵庫のコンプレッサー企業、衣料用繊維メーカーを誕生させています。」一方で、大きな企業の例では、「BMWは、カーボンファイバーの車体を採用し、ボタンひとつで自動的に駐車をしてくれる機能と搭載している。自社保有資産の活用が必要である。」と述べています。

六つ目は、「国家政策」です。四つの破壊的な力は、企業だけでなく、国家政策にも影響を及ぼします。新しい政治リーダーは、一般大衆の発言や政治参加が増えたことで、結果にスピードが求められます。これに対して政治では、「インセンティブ」「規制」「情報提供」の手段が使われるそうです。例えば、「中国では、高度なスキルを持つ専門家を母国に呼び戻すためにインセンティブを活用」「人口高齢化問題に対処するために国によっては法律で定年年齢を引き上げるなどの規制がされる。」などが事例が紹介されています。これらの国の行動も視野の中に入れる事で、四つの破壊的な力を利用し、対処を提言しています。やっぱり「なる程」だと思いませんか?

引用:リチャード・ドップス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル、吉良直人訳、ダイヤモンド社、マッキンゼーが予測する未来

本の中では、破壊力を持つ12の技術の紹介として、「次世代ゲノム、新素材、エネルギーの貯蔵、石油とガスの採掘、再生可能エネルギー、ロボット工学、自律自動車、3Dプリンティング、携帯機器インターネット、IoT、クラウド技術、知識作業のオートメーション化」が挙げられています。フォーブス誌は書評で、この分野から新しい企業が登場すると述べています。

興味があれば一度読まれることをお奨めします。

この様な社会変化について、私も、もう少し具体的にSoclal NeedsやSolutionとして考えて、纏めてみました。 ご興味があれば一度見てください。

これらについて、みなさんのご意見やご要望をお待ちしております。

併せて、問題と課題、リスクへの取り組み方についての提案もここに記載します。

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